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心療内科

脳神経内科

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〒241-0821神奈川県横浜市旭区二俣川
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脳神経内科

Cerebral and Neurological Internal Medicine

脳神経内科|あさひ脳神経内科・精神科クリニック|旭区二俣川の内科・脳神経内科・心療内科・精神科

皆様、『脳神経内科』という科をご存じですか?
『脳神経外科』は開業医の先生が多く、皆様よくご存じかと思います。『脳神経内科』は大きな病院では見かけることがあると思いますが、あまり認知されていないことと開業医の先生は非常に少ないのが現状です。

神経系を扱うという意味では『脳神経内科』も『脳神経外科』も変わりはありません。脳神経内科では『脳』以外に『脊髄』『末梢神経』の『全身の神経』や『筋肉の病気』など、扱う病気が多岐に渡ります。

代表的な症状として、『頭痛』、『けいれん』、『めまい』、『しびれ』、『手の震え』、『ふらつき』、『歩行障害』、『顔の麻痺』『手足の麻痺』、『飲み込みづらい』、『ろれつが回らない』、『物忘れ』などがあります。

具体的には『頭痛』『脳梗塞』『パーキンソン病や脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を始めとする難病の病気』『てんかん』『認知症』『末梢神経障害』『筋炎(筋肉の病気)』『重症筋無力症』『多発性硬化症』『脳炎、髄膜炎』などがあります。

脳神経外科では『脳腫瘍』『脳出血』『くも膜下出血』『脳血管奇形』『脳動脈瘤』『脳梗塞の血管内治療』などのいわゆる『手術が必要となるもの』が専門となります。

診察の中で最も大切なのが、『神経学的所見』という脳神経の専門の診察です。診察から得られた情報から様々な疾患を考え、検査を行うことで診断をつけていきます。診察によって得られた情報からどの部位が障害されているのかを特定する技術が『脳神経内科』では非常に重要となります。

どうでしょうか?少しイメージが湧いてきたでしょうか?
それではそれぞれの病気の説明をしていきましょう。

脳梗塞

脳梗塞

脳梗塞 イラスト

脳梗塞とは脳の血管が詰まる病気です。
詰まった血管が栄養している脳の部位で血液の流れが悪くなり、脳の細胞が死んでしまいます。その障害された部位に応じていろいろな症状が出ます。

1.アテローム血栓性脳梗塞

糖尿病や脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症といった生活習慣病によって、血管が徐々に狭くなって詰まる脳梗塞です。

2.ラクナ梗塞

アテローム血栓性脳梗塞と同じような仕組みで、細い血管が詰まる脳梗塞です。

3.心原性脳塞栓症

心臓の機能が悪かったり、心房細動といった不整脈があることで、心臓の中で血液がよどみ、心臓の中に血の塊(血栓)ができます。それがなにかの拍子に、脳の血管に飛んで詰まる脳梗塞です。

この三つが大きな脳梗塞の種類になります。他にも血管に炎症を起こして起こるもの、血液の病気で起こるものなどの特殊な脳梗塞もあります。
また、一時的に脳の血液の流れが悪くなり、症状が出ることもあります。

この病気は最終的に血管が詰まらないため、症状が改善するのです。これが『一過性脳虚血発作』という病気です。つまり、脳梗塞の一歩手前の状態です。
この病気は脳梗塞に発展する可能性が高いので、リスクが高い方は、一時的に症状が出ただけでも受診をして脳梗塞と同じ治療を行うことが非常に大切になります。

血液検査、心電図、頭部CT、MRI、超音波などの検査をして、脳梗塞の種類を特定することがとても重要となります。これは脳梗塞の種類によって予防のための血液をさらさらにする薬(抗血小板薬または抗凝固薬)が変わるからです。
種類を同定しないで、違うタイプの薬を使っていたら予防になりません。正しい診断を行い、脳梗塞の種類に応じた治療を選択することが脳梗塞の予防に繋がります。

症状に関しては脳梗塞で障害される部位により異なります。視野の一部が欠けたり(視野欠損)、顔や手足が動かしにくくなったり(麻痺)、言葉が出なくなったり(運動性失語)、言葉が理解できなかったり(感覚性失語)、呂律が回らなかったり(構音障害)、飲み込みが悪くなったり(嚥下障害)、と様々な症状が障害部位によって出るのです。

これらの症状に対して細かい診察を行うことで、脳の中での障害部位を特定し、頭部CTを見ることで診断の裏付けを行っていきます。
緊急を要する場合は適切な医療機関へご紹介させていただきます。

また、脳梗塞の通院でかかりつけ医をお探しの方もぜひご相談ください。

脳出血

脳出血 イラスト

脳出血とは脳内の血管が何らかの原因で破れ、脳の中で血の塊ができる状態の病気を言います。
当院では頭部CTがあるため、その場で出血しているかを判断することが可能です。
症状としては頭痛や吐き気、脳梗塞と同じように出血した部位によって身体症状が出ます(①をご参照ください)。
手術を含めた治療が必要なため、適切な医療機関へご紹介させていただきます。

くも膜下出血

くも膜下出血 イラスト

脳の血管にできた脳動脈瘤という血管のこぶが破裂することで起こります。
「今までに経験したことのないような激しい頭痛」「バットで後頭部を殴られたような頭痛」が典型的な患者様の訴えとなります。

意識状態が悪くなることもあり、早期に診断を行うことが非常に重要となる病気です。
後遺症も残ることが多いため、適切な治療を早い段階で受けることが重要となります。

当院ではCTを施行することで、迅速に診断することができます。入院が必要になりますので、適切な医療機関へご紹介させていただきます。

頭痛

頭痛

当院では頭痛の性状を詳しく聞き、どの頭痛に分類されるかを判断し、緊急疾患を頭部CTにて確認することが可能です。
緊急を要する病気にはくも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、脳梗塞などがあります。

それ以外の緊急を要しない頭痛には片頭痛が一番多く、緊張性頭痛、薬物乱用性頭痛、群発頭痛などがあります。
これらの病気を診察と問診、頭部CTを行うことで診断を行っていきます。

治療に関しては患者様の状態に応じて、点滴や内服での加療が可能です。ひどい頭痛により日常生活に支障をきたす方も多くいらっしゃいます。
実はどの頭痛でも予防薬や対策を取ることで頭痛の強さを減らしたり、回数を減らすことができます。頭痛で悩んでいる方はお気軽にご相談ください。

1.片頭痛

片頭痛 イラスト

脳の太い血管が拡張すると、その周囲を取り巻いている三叉神経(頭の感覚に関与する神経)が圧迫され、刺激を受けます。
刺激を受けた三叉神経からは神経ペプチドと呼ばれる「痛みの原因となる物質」が放出され、血管の周りに炎症が起こります。すると、さらに血管が拡張し、ますます周りの三叉神経が刺激されます。これにより頭痛が起こる病気です。

片側または両側にズキズキする痛みが出ます。典型的には頭痛が起こる前の症状として閃輝暗点(目の前がチカチカする、景色が歪む、一部が見えにくくなる)が20~30%の方に出ることがあります。他に前兆の症状として光過敏・音過敏・におい過敏などの感覚過敏が出ることもあります。
症状がひどいと日常生活に支障をきたす病気です。

内服にもさまざまな種類があり、頭痛の予防も行うことができます。急性期の頭痛に対しても点滴などで治療を行うことが可能です。
また、最近ではカルシトニン遺伝子ペプチド(CGRP)という物質をブロックする注射薬も出ています。医師の判断で必要があれば当院で注射の導入を行っていきます。

2.緊張性頭痛

緊張性頭痛 イラスト

緊張性頭痛後頚部を中心に両側が痛むことが多く、重苦しい感じや締め付けられるような痛みが出ます。
首や肩のこりを伴うことが多いです。肩こり体操や薬物療法により症状の緩和や予防を行うことが可能です。

3.薬物乱用性頭痛

いわゆる頭痛に対して痛み止めを乱用することによって出現する頭痛です。
元々の頭痛としては片頭痛や緊張性頭痛が多く、これらの病気に対して痛み止めを頻回に使用して起きることが多いです。
メカニズムとしては簡単に言うと、鎮痛薬を過剰に使用することで、痛みに対する閾値が低下して起こると考えられています。
まずは原因となる鎮痛薬の使用回数を減らし、適切な薬の使い方を指導したり、鎮痛薬を中止することが治療方法となります。

大体の場合、元々の頭痛の原因、つまり片頭痛や緊張性頭痛のコントロールができていないことが原因となります。
適切にそれらの頭痛に対して治療を行うことで、鎮痛薬の使用回数が減り、薬物乱用性頭痛を収めることもできます。
早めに相談して適切な治療を受けていただければと思います。

4.群発頭痛

群発頭痛 イラスト

「血管性頭痛」であり、脈拍に一致した痛みが出ます。内頸動脈が腫れることで痛みが出るものと考えられております。
いったん起こると1~2ヶ月間という長い期間で頭痛が持続し、一定の周期で頭痛が襲ってきます。

男性に多いとされており、流涙、鼻汁、目の充血などが頭痛と一緒に出るのが特徴です。

急性期の治療方法としては酸素吸入、スマトリプタン、ステロイドなどを使用していきます。

三叉神経痛

顔の感覚を脳に伝える神経が三叉神経です。三叉神経痛とはこの神経が原因で顔の表面に痛みが出る病気のことを言います。

痛みは突発的に起こることが多く、非常に強いものもあります。一瞬の電撃が走るような痛みが数秒~数十秒程度続きます。脳腫瘍や血管により三叉神経が圧迫されていることが原因となります。

頭部CTで検査をして、大まかな異常がないことを確認し、神経と血管の走行を見る特殊なMRIの検査を行う場合もあります。薬物治療で症状が良くなることが多いですが、ひどい症状の場合は手術が必要なこともあります。

髄膜炎

発熱・頭痛・項部硬直の3症状が特徴的な症状です。

一番多いのはウイルス性髄膜炎です。多くの場合、エンテロウイルス(85%)、エコーウイルスなどのウイルスが原因となります。

もうひとつ重要なものが細菌性髄膜炎です。中耳炎や副鼻腔炎、肺炎といった細菌感染から、脳内に細菌が入り込み、脳内の感染を起こす病気です。
中には脳膿瘍(脳内に膿が溜まる病気)や重症化して意識障害や後遺症が残る場合もあります。
腰椎穿刺という髄液を採取する検査と入院での抗生剤の点滴投与が必要となりますので、適切な医療機関に紹介とさせていただきます。

めまい

1.良性発作性頭位変換めまい症

耳の内部に前庭器官というところがあり、頭が地面に対してどのような位置にあるかを感じるための機能を持っています。
前庭器官の耳石器の上には、耳石という小さな石がたくさん乗っています。この耳石が本来の位置から外れて、三半規管に行ってしまうと、頭を動かした際に耳石が動いてしまい、神経(クプラ)を刺激してめまいが出る病気です。

症状としては頭を動かしたり、朝起きようとして枕から頭を上げたりしたときに、急激な回転性のめまいが出現します。嘔気や嘔吐を伴うこともあります。

点滴での加療を行い、必要に応じて内服加療を行います。
この病気は聴力の低下や耳鳴り、耳閉感などの耳の症状は起こりません。耳の症状がある場合には、メニエール病や突発性難聴などが疑わしいため、耳鼻咽喉科へ紹介させていただきます。

2.小脳梗塞・小脳出血・小脳腫瘍

頭の後頭部にある小さい脳(小脳)に脳梗塞や脳出血、脳腫瘍があることでめまいが生じることがあります。

小脳は運動機能の調節、体の動きを記憶するなどの機能が備わっている部分です。この部位が障害されると、小脳失調といって呂律が回らない、姿勢や歩行が悪くなる、めまいや平衡感覚が悪くなるといった症状が出現します。

当院では頭部CTで確認し、さらに必要であれば連携している医療機関で頭部MRIを施行していきます。

認知症

1.アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多く全体の6割を占めます。症状としては短期記憶障害、判断能力の低下、見当識障害が出現します。

短期記憶障害とはいわゆる物忘れで、何度も同じことを繰り返し聞く、食事をしたことを忘れてしまうといった症状が出現します。判断力の低下が進行すると、料理の手順がわからない、片付けができないなどの症状が出現します。

見当識障害はまず日付などがわからなくなり、進行するとトイレの位置などが分からなくなります。
さらに認知症の周辺症状といわれる行動・心理症状(BPSD)が進行とともに出てきます。易怒性(怒りっぽくなる)や物を盗られたといって家族を責める『物盗られ妄想』、本人がなんらかの目的で外に出て迷子になってしまう徘徊、入浴をしないなどの介護拒否があります。周辺症状の多くは介護をされているご家族が困る症状です。

当院では頭部CTを行い、必要に応じて連携している病院で頭部MRIや脳血流検査を行うことで正確に診断を行っていきます。
抗認知症薬で進行を緩やかにし、周辺症状に対しても抗認知症薬の使い分けや抗精神病薬などを使用することで症状を抑えていきます。適切な治療を行い、自宅や施設での生活を送れるようにサポートしていきます。
軽度の物忘れから重い認知症の方まで対応できますので、どうぞご相談ください。

2.脳血管性認知症

認知症の20~30%を占めます。脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳の血管の病気によって引き起こされる認知症です。
急激に症状が出現する方と無症候性脳梗塞を頻回に起こし、徐々に認知症が進む方もいます。

症状としては、『まだら呆け』と『感情失禁』があります。
まだら呆けとは、物忘れがあったり、計算ができなくても、長い記憶に関してはしっかり覚えているという状態のことを言います。
感情失禁とは、すぐに怒ったり、泣いたりして感情の起伏が強い状態のことを言います。

アルツハイマー型認知症と比べ、認知症のテストで減点される部分が異なります。認知症テストの結果や画像検査で総合的に考え、診断を行っていきます。

3.レビー小体型認知症

レビー小体という神経細胞に特殊なたんぱく質が増加することにより発症する病気です。

初期症状として「虫や蛇、犬などが部屋にいる」「知らない人がいる」「小人がいる」などの幻視を訴えます。幻視の対象物に対して話かけて一人事を言っているように見えることもあります。
また、手が震える、動作が遅くなる、歩行が小刻みになる、筋肉がこわばる、身体のバランスを取ることが難しくなるといった、いわゆるパーキンソン病と似た症状が出現します。

また、レム睡眠行動異常症(RBD)といって、寝ている間に暴れたり、大声を出したりする症状も出現することがあります。
これらの症状に加え、認知症の症状が合わさる病気がレビー小体型認知症です。抗認知症薬で治療を行い、運動症状(パーキンソン症候群)に対しても治療が必要となります。

幻視は本人が怖がることも多いため、必要に応じて幻覚を抑える抗精神病薬も使用していきます。ただし、パーキンソン病の薬は副作用として幻覚が悪化することがあり、抗精神病薬はパーキンソン症状を悪化させることがあります。
幻覚も出ず、動きも良くするといった、きめ細やかな治療が必要となります。

当院では脳神経内科専門医と精神科専門医の両方を所持している医師がいますので、ご相談ください。

この他にも前頭側頭型認知症、ビンスワンガー型認知症などがあります。

本態性振戦

症状として手や首などのふるえのみが出る病気です。ふるえ以外の症状は認められないのが特徴です。
40歳以上では約4%、65歳以上では約14%の方で出現すると言われています。年齢とともに少しずつ悪くなり、自覚される方もいらっしゃいます。

本態性振戦のふるえは軽いうちは問題になりませんが、字が書きづらいとか、手に持ったコップの水がこぼれるなど、日常生活に支障をきたすようになると治療が必要となります。
また、緊張する場面で症状が悪化すると訴える方もおり、背景に社交不安症障害などの精神疾患が合併している場合があります。

パーキンソン病

脳の中脳と呼ばれる場所に黒質という部位があります。この部位の細胞が減ってしまうために起こる病気です。
これにより神経の伝達物質であるドパミンが減少し、運動の調節機能が損なわれるために体の動きが不自由になります。典型的な症状としては動きが鈍くなる『無動』、筋肉がこわばる『筋固縮』、安静時の手のふるえ『振戦』、転びやすくなる『姿勢反射障害』があります。

日本では15万人程度の患者様がいて、頻度としては1000人に1~1.5人と比較的多い病気と考えられております。
他の症状としては顔の表情が乏しくなる『仮面様顔貌』、臭いが鈍感になる『嗅覚低下』があります。うつ病や不安障害が合併することも多い疾患です。

臨床症状から判断し、MIBG心筋シンチグラフィー(心臓の交感神経機能を見る検査)やDAT Scan(頭の中のドパミンの放出量を見る検査)といった検査を行うことで診断の裏付け行うことが可能です。
運動症状が顕著になると、日常生活に大きく支障をきたす病気であり、ドパミンというホルモンを補充する治療が大切になります。
また、薬物治療で症状が改善することも診断の基準になっています。適切な内服加療を行うことで、運動機能を維持することが可能です。

また、難病に指定されている疾患であり、当院で申請は書類を作成することが可能です。
症状があり、パーキンソン病が気になる方、内服の調節を相談したい方はぜひご相談ください。

てんかん

脳の神経細胞は規則正しいリズムでお互いに調和を保ちながら電気的に活動をしています。この穏やかなバランスを持った活動が崩れて、激しい電気的な乱れが起きてひきつけを起こす病気がてんかんです。

てんかん発作は繰り返されることが多いため、一度の発作ではてんかんとは診断しないことがあります。生まれたときの仮死状態や低酸素の影響が原因のこともあります。
その他に大人では脳梗塞や脳出血などが誘因となって起きる『症候性てんかん』、検査をしても異常が見つからない原因不明の『特発性てんかん』などがあります。

症状としては全身のひきつけで起こるもの、部分的にひきつけが出るもの、意識を失うもの、行動はしていても後で気づいたときに記憶がないもの、口をもぐもぐさせる自動症などがあります。
問診が非常に大切で画像の検査も必要となります。てんかんの中でもいろいろな種類があるため、診察と脳波検査(脳の電気信号を調べる検査)でしっかり診断し、その診断に合った抗けいれん薬を使用する必要があります。
当院では連携病院で脳波検査を行うことで診断を行っていきます。

脊髄小脳変性症

脳の小脳と言われる部位にある細胞が変性することで起こる病気です。全国で約4万人の患者様がいると言われています。遺伝によるものが30%程度、遺伝に関係なく病気になる孤発性が70%程度と言われています。
遺伝子にはいろいろタイプがあり、それぞれ特徴的な症状が出ると言われています。

前述の通り、小脳は運動機能の調節、体の動きを記憶するなどの機能がある部分です。前の筋肉と後ろの筋肉が反発し合わないように、バランスよく動かすために運動を制御している場所といったらイメージがつきますよね。

この部位に障害が起こると呂律が回らなくなり、言葉が途切れ途切れに出る『断綴言語』、足の運びがうまくできず、バランスが悪くなって歩けなくなる『小脳失調性歩行』、物を取るときにずれて物が取れない『測定障害』が認められます。
難病にも指定されている病気です。

現在の医学では根治治療は難しい病気ですが、『セレジスト®』を内服することで小脳失調を緩和させることができます。ヒルトニン®という点滴で治療を行うこともあります。
同じような症状が出ていたり、ご家族にも同じ症状がある方はご相談ください。

多系統萎縮症

神経系の複数の系統、すなわち、小脳、大脳基底核、自律神経障害が障害されて起こる病気の総称を多系統萎縮症と言います。
脳内にα―シヌクレインという物質が溜まり、神経細胞変性が起きることで発症すると言われています。

症状としては別項の脊髄小脳変性症と同じ小脳失調が出たり、パーキンソン病に認められるパーキンソンニズムが出たり、起立性低血圧や排尿障害など自律神経障害が出ます。

注意しなければならないのが、睡眠時の無呼吸などの呼吸機能が障害されることです。病気の初期の段階から出ることがあります。
また、声帯(声の出る場所)の麻痺や呼吸をコントロールする脳の中枢障害により突然死が起こりうる病気です。

頭部CTやMRIで、小脳、脳幹部(特に橋の脳底部)の萎縮を認め、その他にMRIで特徴的な『十字サイン』や『被殻外側部の直線状のT2高信号』などが認められることがあり、診断に有用となります。

難病にも指定されている病気です。
現在の医学では根治治療は難しいですが、それぞれの症状に対して対症療法を行っていく必要があります。また、生活環境の設定も大切です。

眼瞼けいれん

眼の周りや顔の筋肉は脳から出る顔面神経によって動いています。
両方の目に症状がある場合、脳の中心部にある大脳基底核の異常が原因で起こります。一方、片側のものは脳から出ている顔面神経が、血管や腫瘍などに圧迫されて症状が出現します。

原因を頭部CTやMRI(システルノグラフィ―)で検査することが重要であり、治療も内服加療である程度抑えることが可能です。
薬で良くならない場合はボトックス注射や外科手術が必要になります。患者様の状況に応じて適切な医療機関をご紹介させていただきますので、是非ご相談ください。

筋萎縮性側索硬化症

自分で体を動かす筋肉のことを随意筋と言います。この随意筋をコントロールする神経のことを運動ニューロンと言います。
運動ニューロンは、いろいろな動作をするときに、脳の命令を筋肉に伝える役目をしています。この運動ニューロンが障害されると、信号が伝わらなくなるため、筋肉が徐々に動かせなくなり、筋肉がやせ細ってきます。
これが筋萎縮性側索硬化症という病気です。

日本では約8300人の患者様がいると推定され、難病にも指定されている病気です。
手足の力が入りにくい、箸が持てない、手足が上がらない、走りにくい、筋肉のぴくつきといった症状が現れます。手・指・足の筋肉が痩せてくるのも特徴的です。
人によっては球麻痺症状といって呂律が回らなくなったり、飲み込みの機能が落ちたりします。進行速度には個人差はありますが、徐々に身動きが取れなくなり、呼吸筋の麻痺が起きたり、食事が摂れなくなったりします。

現在の医学では根治治療は難しい病気ですが、グルタミン酸という物質による細胞障害が提唱されており、それを抑える『リルテック®』という薬があります。
他にフリーラジカルという神経障害を引き起こす物質を消去することで病気の進行を遅らせる『ラジカット®』という点滴での加療があります。
ご本人はもちろん、ご本人と関わるご家族とご相談させていただきながら、治療方針と今後の生活の送り方などを相談させていただき、サポートをさせていただきます。

末梢神経障害

脳から背骨の中に脊髄という神経の束が通り、そこから細かい神経が分岐して手足の筋肉へと分布していきます。
この細かい神経というのが末梢神経と言われる部分です。
この部分がなんらかの原因で障害されて、手足のしびれや力が入らないといった症状が出る病気のことを総称して末梢神経障害と言います。

ここでは一般的に多いとされる糖尿病性末梢神経障害、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎といった病気について説明していきます。

末梢神経障害

1.糖尿病性末梢神経障害

糖尿病の三大合併症の一つで、長期にわたり糖尿病に罹患されている方に起こる病気です。
非常に細かい血管が障害されることで、その微小血管が栄養する末梢神経が傷つきます。その結果、手足の先にしびれや疼痛が出現する病気です。

非常に軽度のものから日常生活に支障をきたす方までしびれや疼痛の程度は人により異なります。
糖尿病の期間が長かったり、血糖のコントロールが悪かったりすると症状がひどくなる傾向があります。

まずは糖尿病のコントロールを行うことが先決です。症状に対しては糖尿病性末梢神経障害に対する疼痛やしびれに使用する薬を服用することで緩和することが可能です。ぜひご相談ください。

2.ギラン・バレー症候群

稀に風邪や下痢などの感染した後に自分の神経に対する抗体という攻撃物質ができることで発症する病気です。
通常は細菌やウイルスなどの外部からの侵入に対して抗体がつくことで、細菌やウイルスを退治する細胞が病原体を認識して攻撃をします。これを自己免疫応答といいます。
この病気では神経に対する『抗ガングリオシド抗体』が作られ、これが神経につくことにより、自分の神経が破壊されてしまう症状が出ます。

通常感染後から1~4週間程度で発症します。症状としてはしびれが多く、指先から始まり、手袋や靴下を履く部分にしびれが広がり(グローブ・ストッキング型感覚異常)、手足の力が徐々に入らなくなります。1~2週間程度で症状がピークに達します。
重症化すると呼吸がしづらくなったり(呼吸筋の麻痺)、自律神経障害で全身状態が非常に悪くなることがあります。

早期の診断と適切な治療が重要となる脳神経内科特有の病気です。

3.慢性炎症性脱髄性多発神経炎

神経というのは脳からの刺激(電気)が流れる電線の部分だと考えてください。
自己免疫応答によりこの電線に炎症が起こり、脳からの刺激が通らなくなることで、症状が出現する病気です。

10万人に1~2人と非常に珍しく、難病にも指定されている病気です。
症状としては手足の筋力の低下としびれが出ます。大量免疫グロブリン療法などの治療方法があります。

ベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)

顔面神経麻痺のうち原因が明らかでないものをベル麻痺(特発性末梢性顔面神経麻痺)と言います。

原因として多いと言われているのが、疲労や免疫力低下、ストレスなどをきっかけに、昔感染していた単純ヘルペスウイルスが再度活動的になり、ウイルス量が増えることで麻痺が出る病気です。
症状としては片側のまぶたが閉じられない、片側の口元から水がこぼれる、片側の口の先が下に下がる、味がわからない、などがあります。

脳梗塞とは違う麻痺の症状が出るため、診察で得られた所見や画像診断で判断していきます。抗ウイルス薬やステロイド、ビタミン剤などで治療が可能です。

あくまで進行を止める治療であり、すでに起こってしまった麻痺に対してはリハビリが非常に重要です。リハビリをしても麻痺が残る場合があります。
当院では自宅でできるリハビリの説明書をお渡しいたします。発症してから受診と治療までの時間が早ければ早いほど、回復がしやすくなります。あれ?変だなと思った時にはぜひご相談ください。

筋疾患

筋疾患

筋肉自体の問題で症状が出現する病気があります。筋疾患は様々な疾患があり、鑑別が重要となります。
大まかにわけて炎症性筋疾患(多発筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎など)と遺伝性筋疾患(筋ジストロフィーなど)があります。

1.多発筋炎、皮膚筋炎

筋炎とは自己免疫が原因で筋肉に炎症が起こり、腕や足、臀部といった筋肉において筋力低下や筋痛が出現します。
それに付随して関節痛や典型的な皮膚症状が出ることもあります。

筋肉が壊れる病気なので採血でCK(クレアチンキナーゼ)が上昇するのが特徴的です。それに加え、診察で得た情報や特殊な血液検査をすることで、確定診断を行っていきます。

治療としてはステロイドや免疫抑制剤で治療を行います。詳しい検査(筋電図や筋生検)が必要となることがありますので、その場合には連携病院に紹介させていただきます。

2.筋ジストロフィー

筋肉に関連した遺伝子疾患の中で有名な病気が筋ジストロフィーです。
中でもデュシェンヌ型筋ジストロフィーは発症する年齢が10歳~60歳までと幅が広く、進行のスピードも人により異なるため、大人になってから診断される方もいます。歩行も30~40歳代まで保たれることが多いです。

進行に伴い呼吸や心臓の問題が出ることが多く、全身の管理が必要な病気です。診断には遺伝子検査や筋電図、筋生検(筋肉の組織を見る)などが必要となります。

治療としてはステロイド(効果は限定的)、呼吸や心臓に対する対症療法が重要になります。最近ではコエンザイムQ10、遺伝子治療としてエクソン・スキップ療法やリード・スルー療法などの治療が出てきています。
現在の医学では困難ですが、将来治療が可能な病気となるかもしれませんね。

意識消失

1.徐脈性不整脈

通常一定の間隔で心臓は収縮し、血液を送っていますが、正常よりも脈が遅くなり、血液がうまく送りだせなくなることで、意識を失ったり、脳の血流不足でてんかん発作を起こすことがあります。
この原因となる不整脈を心電図で探します。短時間での心電図ではわからないこともあり、必要に応じて24時間つけて検査するホルター心電図を行う必要があります。
原因としては洞不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動などが挙げられます。

2.神経失調性失神

比較的多い失神の原因のひとつです。一過性に全体の脳の血流が低下することで、一時的に意識を失うことを失神と言います。
一時的な失神で、数分以内(多くは1分以内)に意識は回復するのが特徴です。排尿、咳嗽、嘔吐、痛み、および血管迷走神経反射などを原因に失神が引き起こされます。

メカニズムとしては脳の血圧を調節する部位に刺激が起こり、交感神経(興奮の時に働く神経)の緊張が低下し、手足の先の血管が拡張します。つまり、血液の入っている容器の容量が急激に増えることで、血液が重力で下がり、血圧が下がってしまうのです。
同時に迷走神経の亢進により心拍数の低下も起こります。その結果、血圧の低下と脈が遅くなることで、脳の血流が低下し失神を起こします。
この病気を総称して神経調節性失神と言います。

検査としてはシェロングテスト(10分間座位➡立って血圧を定期的に測り血圧が下がるか確認する検査)や心電図の検査を行います。
治療としてはチルト訓練という理学療法を行い、改善がない場合は昇圧剤を使用していきます。

3.起立性低血圧

寝ている状態や座っている状態から急に立ち上がったときに血圧が下がることで症状が出現する病気です。ふらつきやめまい、心臓がどきどきする、視野のかすみ、目の前が真っ暗になる、失神などが出現します。
立ちあがったときに急に全体の血液のうち、500〜800mlがお腹や足に移動します。すると、心臓にもどる血液の量が減少します。
正常な方だと、交感神経で調節する機能が働き、脈拍を早くしたり、心臓のポンプ機能を高めたり、末端の血管を絞めることで、血圧が下がらないようにしています。しかし、何らかの原因で調節の機能が正常に働かず、血圧が下がることで起こる病気です。

外来にてシェロングテストという簡易的な検査を行い、心電図で検査をして問診と合わせて判断をしていきます。
治療としては神経調節性失神と同じになります。

重症筋力症

重症筋力症

神経と筋肉が繋がる部分(神経筋接合部)では、アセチルコリンという物質が神経の端から筋肉に向けて放出されます。このアセチルコリンを利用して私たちは脳からの命令を筋肉に伝え、体の筋肉を動かしています。

重症筋無力症は、アセチルコリンを受け取る受容体(受け皿に当たる部分)の働きを妨げる抗体(抗アセチルコリン受容体抗体)が体内で作られることで、受容体の機能が働かなくなり、筋肉の力が入らなくなるのが重症筋無力症という病気です。
重症筋無力症は何回も手足の同じところを動かすと筋肉がすぐに疲れて、力が入りにくくなります。また、夕方になるとまぶたが下がったり(眼瞼下垂)、物が二重に見える(複視)などの眼の症状も特徴的です。

血液検査で抗体を確認し、筋電図(神経の電気信号を見る検査)を行ったり、テンシロンテストという点滴で行う検査などを行い診断していきます。
難病に指定されている病気です。抗コリンエステラーゼ阻害薬やステロイド、免疫抑制剤といった薬で治療を行います。

多発性硬化症

通常、脳の情報は、神経細胞を通じて、体の全体へと伝えられています。
脳の情報を伝える電線のような働きをするのが、軸索と言われるもので、神経細胞の一部が枝のように長く伸びた部分のことを指します。

また、軸索は髄鞘という電線のカバーのようなもので覆われていて、この髄鞘があることで脳の情報をスムーズに伝えることができるのです。
多発性硬化症は何らかの原因で、この髄鞘が障害(脱髄)されることで、情報がスムーズに伝わらなくなり、様々な症状が出ます。

この脱髄が脳の至るところや脊髄に起こります。
神経が傷つく部位によりしびれや感覚が鈍くなったり、手足の動きが悪くなったり、目の動きが悪くなったり、物が二重に見えたり、尿が出なくなったり、便意がなくなったり、様々な症状が出現します。
難病に指定されている病気です。

検査としては血液検査、頭部MRI、脊髄MRI、髄液検査といった検査が必要になります。
治療としてはステロイドや免疫抑制剤などが必要になります。

脊柱管狭窄症

背骨の中に脊髄という脳から降りてくる神経の束が通っており、そこから細かい神経(末梢神経)が分岐して手足の筋肉に神経が繋がり、私たちの体は動いています。

脊髄が通っている背骨の中の部分を脊柱管と言います。
骨や靭帯の肥厚、椎間板の突出などが原因で、この脊柱管という空間が狭くなり、神経が圧迫されて症状が出現するのが脊柱管狭窄症です。脊髄が圧迫されると部分的なしびれや痛み、腰痛などの症状が出現します。

当院ではレントゲンや脊椎CTにて異常の有無を確認し、必要があれば近医でMRIを施行することにより原因の判断を行います。しびれや痛みの症状に対して神経痛用の内服薬で加療を行い、症状を緩和することが可能です。
しびれや痛みがひどい場合や力が入らないといった症状が出現した場合には手術やブロック注射、リハビリでの加療が必要となりますので、他医療機関へご紹介させていただきます。

他に、椎間板ヘルニア、黄色靭帯硬化症、すべり症といった病気でも似た症状が起こります。

代表的な症状や病気を簡単に説明してきました。「もうすでに量が多いよ」と思う人も多いと思いますが、これらの病気は一部です。
他にも脳神経内科ならではの病気はたくさんあります。
これらのたくさんの病気を扱うのが『脳神経内科』という科です。

脳梗塞を診ることが多いため、基礎疾患になる『高血圧』『脂質異常症』『糖尿病』『高尿酸血症』も診られますので、いろいろなご相談をしていただければと思います。

地域に関わる『脳神経内科』のかかりつけ医として貢献できれば幸いです。

医療法人こまくさ
あさひ脳神経内科精神科クリニック

院長飯嶋 一侑樹

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